親子の絆
2007年~2009年
お仕事に復帰される予定のママ達へ
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「先生、プレマタニティビクスの試験に合格しました!」と、顔をくちゃくちゃにして走ってきたのは、Jスタジオインストラクターの戸崎である。
今回のプレマタニティビクスの試験には、約20人のインストラクターが集まりました。
緊張のあまり声が震える人、手足が冷たくて動かなくなってしまった人、くやしくて涙を流した人、色々なドラマがありました。
「みんな、毎日の激務の中、いつ勉強をしていたのだろうか?」私は講義や試験監督をしながら思ったのでした。
運動の効果、目的、エクササイズを完璧に覚え、甘えなんて1つもない。
社会人がこの講習会に来るためには、自分が毎週担当しているレッスンの代行をたて、家族の許可をもらい、新幹線や飛行機に乗ってはるばる自由が丘まで来るのです。それも3日間!その試験に絶対合格し、レッスンをしたいんだ!と思う20人の熱い気持ちがびんびんと伝わってきました。実は、戸崎は最後の追い込みのときに子供達がインフルエンザにかかってしまいまいした。
「もうどうしよう。勉強したくても勉強できない。講師は自分の上司だし、高得点とらなくては恥ずかしい。」
色々なことを考えたと思います。でも、彼女は変わりました。虚勢を張っても無理は無理。苦しくてさまよう自分を心のどこかで知っていたのですね。
だからありのままで行こう、できる範囲でいくしかない。できる範囲でがんばればいいよ。
そう自分に言い聞かせていたのだと思います。だから試験にのぞんだ彼女の顔はさわやかでした。「戸崎よ!あなたは変わったね!そうだ、子育てをしながらの勉強、仕事、試験とはこういうもんなんだよ。がんばれ!!」
そう心の中でつぶやきながら、公平な立場で試験監督をしていました。みなさんの中にも、4月に仕事に復帰されるかたがいらっしゃるかと思います。
子供を保育園に預け、または互いの両親に預け、新しい環境に飛び込むのは想像以上に大変です。
ましてや独身時代にバリバリに完璧な仕事をこなしていた人ほど、自分だけの時間がとれないことにイライラするものです。
でもね、苦しみも当然のことと受け止め、楽しみもそのまま楽しむ。これが自然な人生の姿なんです。ありのままの自分を受け止め、あんまり考えすぎない。素直に「今は子育て中」と受け止めれば、必ず道は拓けるから。大丈夫だよ。リラックスした気持ちが、あなたのそして家族の宝物なのです。
せっかく仕事に復帰できたのに、家族みんなが嫌な気持ちになってしまったら、何にもならないですものね。
疲れたら休もう。
今までの自分を知っている同僚・上司には、「過剰な期待をしないでね光線」でアピールしましょう。
無理にがんばっても能率が下がるだけです。←これは私が最も感じていること。必死に原稿を書いていても、2時間で2行とか、さっさと寝ればいいのにね!やっぱり家族がいてよかったあ。そう思える自分が必ずいるはずです。そして、仕事をする時には集中して、帰ってきたら仕事の事は考えない。
子供をおもいっきり抱きしめて、一緒にお風呂に入りましょう。
そしてお酒を飲んで寝ちゃいましょう!これが一番です。
2008年3月5日
ちびなりちゃん その2
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うちの拓也は、今折り紙きちがいです。一日約5時間は折り紙を折っています。国立科学博物館で買ってきた「恐竜の折り紙1~3巻」を常に小脇にかかえ、口をとんがらして折り続けます。トイレに行く以外は、ずっと折り続ける。そのかわり、勉強はしない、学校の用意はしない、防犯ベルは8回も忘れてくる。どうしようもない状態がこの年末にかけて起こっています。正直母親として小爆弾を落としてやるぞ!!と思う時が何度もありました。でもね、穴があくくらいぼろぼろになった、何度も折りなおした折り紙で、なんとかザウルスができあがると、「お母さんできたよ。」って言って私に見せるんです。10センチ程の小さな恐竜は、今にも動きだしそうな彼の宝物なんですよ。彼の眼鏡から見える瞳はキラキラ輝いていて、私はこういう拓也の顔を久しく見たことがなかったのです。この子のこういういい所を伸ばすのもつぶすのも親しだいなのかな・・・
私は楽器が上手に弾けたり、絵が描けたり、文章が上手に書けるような芸術にとっても心が動きます。自分もそうなりたいなあ。といつも思います。もしかしたら、うちの息子の折り紙も一生の職業になるかもしれないし、この手先の器用さからモノつくりの面白さに没頭できるかもしれない。そうだ!そうだよ! そう思えるようになったのも、西ひげ先生から先日頂いたメッセージのおかげなんです。
「純子先生、そんなにお仕事しちゃだめだよ。しなくちゃいけないことを紙に書いちゃだめ。忘れていいの。自分のしたいことは忘れないから。」 そっかあ。
拓也も自分のしたいことが「防犯ベルを忘れない」になればいいのかな。今、彼は折り紙に燃えているんだから、その燃えているプライドを認めてあげなくてはね。子供にも大人と同じプライドがあるんですね。子供だからと馬鹿にしないで、彼らががんばっていることを認め、褒めて、伸ばしていきたい。子供の目の高さで見て、めりはりのある子育てをしたいものです。でもさ、ホント言うと来週個人面談なんだよ。
あっ院長が帰ってきました。「折り紙王子、今日も何か作ってますか?」こう言って、子供を大切にする院長です。夜通し働いて眠いはずなのに、院長の顔はすがすがしかった。拓也の顔も満足げ。あげはは色気がでてきて毎日鏡を見ている。いいじゃないかこの家族。これからはゆるく生きようよ。今流行りの「求めない」の気持ちでね(笑)
人の価値観は、その人の経験の総合からおのずと導き出されるものです。たくさん泣いてたくさん笑って、多くの人からアドバイスをもらって大きくなって欲しいです。そして、子供のころに身につけた感性や価値観を大切にして、よい社会を作っていって欲しい。そのためにも、親は子育てをおろそかにしてはいけないのですね。大人の都合で振り回さず、子供の心の声に耳を傾け、話しやすい環境を作ってあげなくては。ずっと前に、「一方的にがんがん怒るのはやめて欲しい。」と言われたっけね。もうお母さんはそうしないよ。約束するよ。だから、防犯ベル忘れないでね、たっくん。やはり求めてるじゃないか・・・・求めないって難しいね。
来年もみなさんと一緒に親子の絆を考えていこうね。 Merry Christmas to you!!
2007年12月15日
ちびなりちゃん その1
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今日は私の尊敬する西ひげ先生のお話をしようと思います。
彼は、剣道五段の先生です。多くを語りませんが、一つ一つのメッセージに愛と深みがあり、子供と柴犬が大好きで、赤ちゃんを見る時の瞳は優しいんだなあ。
昨日Jスタジオの坂井先生と東京でプレマタニティビクス講習会の最終会議&忘年会をしました。
私達は今年一年間、我々の担当するプログラムの座談会・取材・写真撮りなど、全てに全力投球してきました。
「少々今年は疲れたなあ。」
と思っていた私を察してくれたのか、坂井先生が
「西ひげちゃんとこで忘年会しようよ。」
と誘って下さったのです。西ひげ先生は、今年の夏にスタジオのパンフを作ってくれたアーティスト。モノつくりにとてもピュアに向き合うかたで、そんな姿勢に私は感動しています。あのパンフレットを作成した時も、よくある取材班のような連写はいっさいなく、参加者が緊張しないように、ここと決めた瞬間を静かに撮って下さりました。撮影を終えインストラクター5人でミーティングをしていると、
「妊婦さんの笑顔とするどい集中力が見えるでしょ。」
と西ひげ先生。見せて下さった写真には、安産のために真剣なまなざしで私を見る妊婦さん、レッスンを終えて微笑む妊婦さんなどが自然体で写っていました。そして
「撮らせていただいた写真をパンフにどういかせるかを考えて、アイディアを練りこんでいく。こだわって誇れるものをつくりたい。」
とおっしゃる西ひげ先生の言葉の中に、仕事への愛を感じました。それから半年ぶり。西ひげ先生に会いに学芸大まで行きました。オフィスはマイナスイオンがいっぱいで、初めて伺ったような気がしないくらいあったかいお部屋でした。そこで私は何十年かぶりに思いっきりリラックスをさせて頂き、大学時代のように歌い踊り狂いました。そして、もう帰らなくてはという所で、西ひげ先生はちびなりちゃんという絵本を読んでくれました。そう、彼は絵本作家でもあるのです。ちびなりちゃんの絵本にはまだ色のついていない絵が描かれていて、未完成でした。一生懸命お一人で西ひげ先生が描いていたのかと思うと、私は涙が止まりませんでした。
「学校が基本なんだよ。勉強に無駄はないんだ。」
そんなメッセージも下さり、心がほっとするお話でした。仕事とは何か。前にもみなさんにお話をしたことがありますが、私は生きる力だと思います。そして仕事はとても孤独です。でもそんな中、仕事の枠を超え、自分が素っ裸になれるパートナーがいたら幸せです。それが主人であったり、犬であったり、女友達であったり、子供であったり、誰でもいいのです。決してきどらない、くさい自分、汚い自分をちゃんと見せることができる人がいれば、孤独もなんも怖くないんです。
子供にとっては、学校が仕事。学校でたくさんのお勉強を学ぶもいいけれど、最も大切なのは「お友達と仲良くすること。自分に大切なお友達は誰なのかを見極められるようになること。」これしかないと私は思うのです。いつか大人になった時、どんなに孤独でも信じあえる仲間を作ることのできるすべをもっていれば、きっと大丈夫。これをしっかり学ぶことが一番大切なんですよ。
つづく
2007年12月14日